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経営を視覚化する思考ツール 散布図②

散布図に関しての留意点ですが、R^2値に留意する事はもちろんの事、基本的なデータをしっかりと取る事も非常に重要であると言えます。

 

例えば、先ほどの売上と広告の散布図を見てみましょう。

 

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これによると、広告宣伝費と売上の相関関係は0.99以上。ほぼほぼ相関関係にあると言えます。しかし、これは様々な業種を混然一体にして求めている数字です。それで、「ああ、広告をかけさえすればある程度は売上が上がるんだな」と考えて広告宣伝を行ってしまわないように注意が必要です。

 

例えば、業種を分解してそれぞれの売上と広告宣伝費と売上の相関関係を調べてみましょう。すると、小売業はR^2=0.92と高い相関を示す一方、建設業はR^2=0.22と、相関関係が存在していないという事態になってしまいました。

 

そう、全体で見た時には強固な相関関係が生じているように見える広告費と売上の関係ですが、実際には業種によって大きくその効果が異なるのです。

 

全体で見た時にはこのような違いを発見することは不可能になってしまいます。つまり、このような散布図を使う場合には、何よりも「相関関係を分析する為の前提条件が誤っていないか?」に気を付けながら分析を行っていくことが求められますね。

 

このように全業種の傾向のみで判断をしてしまっては、解像度が低すぎて十分な意思決定の材料にならないこともある事にご注意ください。特にロジックツリーと組み合わせて打ち手の意思決定をする場合、その打ち手は本当に効果があるのか?という判断をする際のデータ収集には気を付けて頂ければと思います。